#2 金・銀・プラチナの違いとは?貴金属の特徴と科学的な性質

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「金・銀・プラチナ」って、それぞれどんな違いがあるかご存じですか?
指輪やネックレスを選ぶとき、「どれが一番いいの?」と迷うこと、ありますよね。

でもこの3つの貴金属は、見た目の色だけが違うわけではありません
実は、化学的な性質・加工性・希少性・価格の安定性まで、それぞれに個性があります。

この記事では、化学的性質・産出量・加工性・価格の安定性など嚙み砕いて解説していきます。

「貴金属」とは?

まずは、「貴金属」という言葉の意味をおさらいしておきましょう。
貴金属とは、空気や酸で錆びにくく、長期間美しい輝きを保つ金属のことです。
代表的なものは以下の通りです。

  • ・ 金(Au)
  • ・ 銀(Ag)
  • ・ 白金(プラチナ:Pt)
  • ・ パラジウム(Pd)
  • ・ ロジウム(Rh)

これらの金属は化学的に安定しているため、腐食や酸化が起こりにくく、ジュエリーや工業用途に適しています。

永遠の輝きを持つ金属 「金(ゴールド)」

金の基本情報
元素記号原子番号比重融点
Au79約19.31,064℃

古代エジプトの時代から、金は「富と権力の象徴」として扱われてきました。ツタンカーメンの黄金のマスク、日本の金閣寺の金箔などもその象徴です。

科学的特徴

金は化学的に非常に安定しています。酸や塩にほとんど反応せず、錆びたり腐食したりしません。
これは金の電子構造が安定しているためです。
また、金はとても柔らかい金属でもあり、1gの金を叩くと1㎡以上の金箔に伸ばせるほど。ジュエリー加工に向いていますが、傷がつきやすいという弱点もあります。

合金としての利用

柔らかさを補うため、金は他の金属と混ぜて「合金」にします。

純度含有率呼び方
K24約99.9%純金
K18約75%一般的なジュエリー
K10約42%カジュアルジュエリー

混ぜる金属によって色も変化します。
・銅を混ぜる → ピンクゴールド
・銀やパラジウムを混ぜる → ホワイトゴールド

美しくもデリケートな金属 「銀(シルバー)」

銀の基本情報
元素記号原子番号比重融点
Ag47約10.5962℃

銀は光や電気の通りが非常に良い金属です。
そのため、ジュエリーだけでなく、電子部品や鏡面材料にも使われています。

黒ずむ理由

銀が黒ずむのは「酸化」ではなく「硫化」。
空気中の硫黄成分と反応して硫化銀(Ag₂S)ができるためです。温泉地や汗の成分でも起こりますが、磨けばすぐに元通り。つまり「メンテナンスすれば輝きが戻る」金属です。

銀の魅力

白く明るい輝きと、やわらかな質感が魅力。
加工しやすく価格も手頃なため、学生のジュエリー制作にも人気があります。

王者の金属 「プラチナ」

プラチナの基本情報
元素記号原子番号比重融点
Pt78約21.41,768℃

プラチナは銀白色で高貴な輝きを放ちます。その希少性は金の約10分の1しか採れないほど。
「白金」とも呼ばれ、結婚指輪やハイエンドジュエリーの代表格です。

科学的特徴

プラチナは化学的にも熱的にも非常に安定。酸や熱に強く、ほとんど変色しません。
また、高い融点と耐久性を持ち、工業的にも重要です。自動車の排ガスを浄化する「触媒」としても使われています。

科学的比較表

性質金(Au)銀(Ag)プラチナ(Pt)
黄金色白銀色灰白色
融点約1,064℃約962℃約1,768℃
硬さ柔らかいやや柔らかい硬くて重い
酸化・変色しにくい黒ずみやすいほぼしない
加工性非常に良い良い難しい
希少性高い比較的多い非常に高い

科学だけで語れない「価値」の違い

金・銀・プラチナの価値は、化学的な性質だけでは決まりません。それぞれが文化・経済・社会の中で異なる役割を担っています。

  • ・ 金・・・通貨・投資・資産の象徴
  • ・ 銀・・・工業・医療・装飾など多用途
  • ・ プラチナ・・・希少性と信頼性の象徴、結婚指輪に最適

日常にある貴金属

私たちの生活の中にも、これらの金属はたくさん使われています。

  • ・ 金・・・スマホやパソコン内部の電子接点
  • ・ 銀・・・抗菌食器・衣料・鏡面素材
  • ・ プラチナ・・・自動車の触媒・医療機器・高級時計

つまり、これらの金属は単なる装飾ではなく、現代社会を支える素材でもあるのです。

まとめ

金・銀・プラチナはそれぞれに個性があり、どれが「一番」ではなく、目的によってベストが変わるのが貴金属の魅力です。アクセサリーを選ぶときも、単に「高そうだから」ではなく、「どんな性質を持っていて、自分の生活に合うか?」を考えると、もっと楽しく選べるはず。

特徴金(ゴールド)銀(シルバー)プラチナ(白金)
黄色白く明るい白く落ち着いた
硬さやわらかいやや硬い非常に硬い
変色しにくいしやすいしにくい
価格高い(安定)安価高価(希少)
印象華やか爽やか上品・高級感

金の温かみ、銀の輝き、プラチナの静かな強さ。
この3つの金属は、ただの素材ではなく、人の文化や価値観の移り変わりを映す“鏡”でもあります。
次にジュエリーを手に取るとき、少しだけその背景に思いを馳せてみてください。

       
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